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ケンとカズのundoのレビュー・感想・評価

ケンとカズ(2015年製作の映画)
4.0
戻るべきか、行くべきか。

劇場鑑賞を諦めていたところに、まさかの一回限りの特別上映。週末なのになかなかの動員でした。

恐るべきはその求心力。冒頭から作品にぐいぐい引き込まれる。主役の2人が新人ということが話題だが、本当に良かった。佇まい、表情が素晴らしい。「キッズ・リターン」を観た時の衝撃に近い。
この2人、作品世界に同化し過ぎていて、他の役柄が想像つかないが、ぜひこれからの活躍に期待したい。

悪事に手を染めた人間が引き返せない泥沼にはまる姿は何度か見たことがあるけど、同時になんとか元の姿に戻ろうともがくものでもある。
その狭間で葛藤する姿がリアルに描かれていた。

冒頭、とんでもないワルに見えた2人が、実はその葛藤にもがく、あまり深く考えない内に引き返せなくなってしまった等身大の若者であることがだんだんとみえてくる。
そこに家族の問題が絡んできて、やがて苦しみばかりが大きくなっていく。
なりたい姿とはあまりに遠くかけ離れた自分…。
彼らに戻る道はあるのだろうか。

悪人の正体とは、引き返せなくなった者たちなのかもしれない。最後に何が残るのか。
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