燕鷲

君はひとりじゃないの燕鷲のレビュー・感想・評価

君はひとりじゃない(2015年製作の映画)
3.5
森田芳光の『家族ゲーム』を初めて観たときのような感覚。浮遊感、とでも言うべきか。ちょっとズレた構図といい、独特な編集のリズムといい、なんとなくクセになりそうな妙味がある。これはこれで悪くない。

開巻早々のユニークな展開(何事もなかったように立ち上がる死体!)と、病んでる父娘の食卓(食べることがただの作業になってるお父ちゃんと、食事にまったく手を付けない娘さん)の対比で魅せる導入部。タイトルの意味するところを早くも明らかにしている親切設計。

セラピストのアンナが中心となるパートに若干の物足りなさを感じるものの、如何に彼女が真面目で優しいか、どれだけ等身大の弱さを抱えているか、それが丁寧に語られているところには好感が持てる(エキセントリックな印象に反し、実はアンナこそ劇中一の真人間ですわな)。

ラストシーンは役者陣が揃って好演。とても気持ちの良い着地だ。
燕鷲

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