賢太郎

バジュランギおじさんと、小さな迷子の賢太郎のレビュー・感想・評価

4.5
いやーインド映画を勝手に【長尺、変な歌と不思議な踊り】から敬遠していたのですが、そんな過去の自分を殴りたいくらいに良質な作品でした!(きっちり159分ありましたし、壮大な楽曲も何回も流れましたが笑。)タイトルから惹かれていて、評価がこれだけ高いのも珍しいので気になっていた1作。ただ上記に書いてあるように敬遠していたのですが、3連休だし時間もあるし、肌に合わなくても挑戦する価値はあるなということで鑑賞開始!
結果、、、見事にハマりました。

作品の毛色的には『LION』を思い出しました。あれは大人になってからのストーリーがメインでしたが…。
舞台はパキスタンとインド。幼い頃から喋る事が出来ないシャヒーダーがある日列車が止まったタイミングで子羊を助けるために下車した瞬間、列車が発車してしまい、国境で[インド側]に取り残されてしまい…。当時のインドとパキスタンの政状も相まってビザ無しには向こう側へは渡れません。そんなわけで、インドで彼女はバジュランギおじさんことパワンに出会すことになります。

インド映画の醍醐味の派手な演出の音楽でバジュランギおじさんが登場した時は純粋に笑いました笑。あとスターか何かなのかなこの人は?って思っていましたが、当の本人は"求職中"とのこと。落第続きだった学生時代。デリーに出ていくように父親方から言われた訳ですが、この辺りのくだりも笑っていいのか分かりませんが面白い。
結果的にデリーで2人が出会ったのが運命的な旅路の始まりになる訳ですが。

この作品のメインキャラはこの2名ですが、周りを彩るキャラクターがお見事!記者の名前忘れましたがあの人が【報道の真の目的】みたいなものを切に伝えることに成功していますし、警官たちも十人十色。大抵優しいですが、結構しつこく追ってきます。パワンがお世話になる家でこちらも運命的な出会いをする学校の教師の彼女に、やたら可愛い弟。なんだかんだでパワンを心配してくれる彼女の父に、太っている彼女の母。もちろん旅先で出会う人々(モスクのお爺ちゃんなど)も魅力的。
そんなこんなでフィナーレまで結構二転三転しながら突き進むのですが、一番厄介なのがパワンの【素直すぎる性格】笑。

彼は嘘がつけません。国境を越えるシーンなんか本来なら3回くらい死んでいます。なんとなくですが、ワンピースのルフィみたいな信念と頑固さと周りを惹きつける魅力みたいなものを持ち合わせているように感じられました。褒め言葉。
そしてその彼への反応や仕草がいちいち可愛いシャヒーダー。"喋れない"からこそ表情が豊かで好奇心も旺盛。後者に関しては色々な問題の起点になっちゃっていますが笑。ただ絶対に送り届けることを誓うパワンは3回りくらいカッコよく見えました。というよりパワンが実はめちゃくちゃ旅路を通じて成長しているんですよね。意外とこの変化が重要だったりします。本質は変わりませんが、自身の宗教観や価値観を乗り越えてでも【必ずシャヒーダーを親の元に返す】という想い。あとは国境を越えてそれが広がっていく感覚。この辺は"インターネット"の本来の有用性みたいなものも描かれていたり。とにかく物語の膨らみ方も旅路が進むにつれて広がっていった印象です。

フィナーレのシーンは必見。
あれは素晴らしいです。
感動体験を生で喰らった感覚。
『gifted』、『LION』どちらも好きでしたが並ぶくらいの良作ですよ本当に。
インド映画みたことない人なんか絶対逆に見てほしいです笑笑!!
(逆にインド映画オススメがあればコメント欄で教えてください♫)
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