つるみん

ウェーブ 98のつるみんのレビュー・感想・評価

ウェーブ 98(2015年製作の映画)
3.3
レバノン出身の監督が故郷の姿を1人の青年を通して描く。独特なアートの感性を加えながらレバノンという街の外面と内面を表現した一作。

登場人物と背景の絵のタッチが違うところも印象的(カレル・ゼマン監督のように実写とアニメーションの融合も面白い)で、社会に馴染めてない、馴染もうとしてない主人公の独立した感じががまた良い。前半はノスタルジックな雰囲気で黄昏る主人公がメインだが、後半からは一気にSF展開に。

いろんな解釈がありそうで面白いこの作品だが、僕は後半の展開は青年の妄想に過ぎないと思う。ただこの妄想も繰り返す退屈な毎日、不安定な社会情勢から何とか抜け出したいという気持ちがそれを見させたのだと思っている。
監督自身もこの作品でカンヌでパルムドールを受賞しているので、レバノンから羽ばたいたという事になるのかな。
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