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ランナウェイズのHIROのレビュー・感想・評価

ランナウェイズ(2010年製作の映画)
3.6
1975年ロサンゼルス。
敏腕プロデューサー、キム・フォーリー(マイケル・シャノン)の協力のもとジョーン・ジェット(クリステン・スチュワート)とシェリー・カーリー(ダコタ・ファニング)を中心に結成されたガールズロックバンド・The Runwaysの結成と解散までを描いたお話。

若くしてスターになるのも大変なんですな(´Д` )

70年代「Cherry Bomb」のヒットで一世を風靡したThe Runways。
彼女達にこんな軋轢があったとは知りませんでしたね。

平均年齢16歳というかなりの低年齢バンドで、ロックスターとしての階段を軽快に登って行く姿は爽快でとてもカッコ良かったです。
しかも数々のロックの名曲が物語を彩っているところも最高。

でも、そんないい流れがいつまでも続くわけではないんですよね。
ジョーン・ジェットとシェリー・カーリーの方向性の違いがバンドをおかしな方向へと導いた。
ジョーンはあくまでも歌で勝負したかったわけだけど、シェリーはビジュアルを売りにしようとするんですよね。
ジョーンはバンドが色物扱いされるのを嫌がったものの、やっぱり世間はシェリーのルックスに注目してしまう。
ボーカルばかり目立ってしまうことが解散原因になってしまうバンドはよくいるんじゃないですかね。

また、シェリーは精神的にも不安定になっていき、ロックバンドがよく陥りがちなドラッグ、アルコールにのめり込んでしまう。16歳という年齢もありかなり痛々しかったですよ。
ドラックはメンバー全員がキメてたけど、バンドの中では比較的おとなしめに見えたシェリーが一番派手に堕ちてしまうんですよね。

それはやっぱりスターとしての自分とティーンとしての自分とのギャップや、アル中の父親を姉に押し付けた罪悪感に押し潰されそうだったからなんじゃないかと。
彼女の置かれていた状況を考えるとそりゃおかしくなっても仕方ないかと思います。

ツアーを回り人気が高まっていくにつれてバンドは次第にギスギスしていく。
思春期なんてものは自分のことが何か分かってないような年頃なのに、周りから崇められることで、自分達は何者でどこに向かっているのか分からなくなったのかもしれないですな。

バンドのせいで失った人生を取り戻したいシェリーとバンドが人生そのものだったジョーン。
その決定的なすれ違いがバンドを完全なる崩壊へと導いた。
夢と希望に満ち溢れたスタートとは対照的なこの絶望に溢れた終焉は分かっているもののかなり可哀想でしたよ。
特に誰よりもロックンロールに傾倒し、ロックスターを夢見たジョーンのことを考えると不備で仕方なかったです。

その後ジョーンがどうやって立ち直ったかは凄まじくあっさり描いていたので分かりませんが、彼女は今なお一線で活躍している。
どうしてもガールズバンドは影に隠れがちだけど、ジョーンが残した楽曲はいろんな映画で使われているんですよね!

最近その功績が讃えられてロックの殿堂入りを果たしました。
紆余曲折あったジョーンだけど、男よりも男らしいロックンロールに対する姿勢は世界中に届いているんですよね。
真摯に取り組みひたすら貫き通せば、いつかはどんな形であれ栄光の日がやって来るのかもしれないですな\m/(`ω´ )\m/

そして主演のクリステン・スチュワートとダコタ・ファニングの演技は最高でした!
2人とも本人にそっくりだし、歌も相当練習したことが伺える。
クリステンは特にジョーン・ジェットに瓜二つ。正直あまり良い印象を持ってなかったクリステンだったけど、今回の演技で彼女のことを見直しましたよ。

あと、ダコタの破滅していく演技は最高で凄まじい存在感でした!
床で粉々にしたドラックを這いつくばって吸ったりなど、汚れ役に徹しているところはとても良かったです♪

その他にもプロデューサーのキム・フォーリーを演じたマイケル・シャノンの胡散臭い演技も愉快でした。

ダコタが下着姿で歌って踊るパフォーマンスは必見だし、主演の2人以外にも美少女がたくさん出るので目の保養になることは間違いなし。
クリステンとダコタのファンはもちろん、ロック好きはそこそこ楽しめる作品だと思います。



2015-75
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