コミカルに描かれるヨーヨーの半生。
深く描かれることはないが、道化師から、戦場を経て、テレビでも大成功を収めているわけで、並々ならぬ努力があったに違いない。
それなのに両親はヨーヨーの苦労を否定するかのような態度をとる。
イソリーナのそっけない素振りもどうかと思う。
0か1かのデジタルな世界ではないのであるから、ピカピカの最新テクノロジーが登場しても、昔ながらの技術とは、相互補完的にうまく付き合っていけばよい。
皮肉にも現代ではオワコンと言われ続けているテレビであるが、我々の生活から完全に排斥される兆しはない。ネットでいくらでも映画は見られるが、私たちはしぶとく劇場に通い続けている(本作は配信で見ましたが)
成功を収めたヨーヨーの孤独。冒頭の父の姿にも重なる。
けれど、自らのなかに変わらないものを持ち続けている彼はきっとうまくやっていくだろう。
ナンセンスの中に現代に通じる本質が描かれる良作であった。