カタパル

ヨーヨーのカタパルのレビュー・感想・評価

ヨーヨー(1965年製作の映画)
4.8
なんて美しい映画!特にサイレント映画とサーカスにオマージュを捧げた前半は感動的な美しさです。1920年代から1950年代までの家族を描く大河ドラマコメディーです。クライテリオンのBDボックスセットに収録されています。

この作品に影響を与えた三つの要素が1) 父親の死、2) サーカスへの愛、そして3) フェリーニの『8 1/2』(1963年)だそうです。テーマとしての家族愛は父の死の影響ですし、サーカスは全体的なモチーフ、自由な発想は『8 1/2』の影響ですね。そうそう。フェリーニもサーカスが好きですよね!

構成は1) 富豪時代 2) 家族サーカス団時代 3) 立身出世時代の三部構成になっています。

第一部(富豪時代)の舞台は「狂騒の20年代」という第一次世界大戦後の好景気の時代。チャップリンの『黄金狂時代』(1925年)の頃ですね。ある富豪(ピエール・エテックス)が多くの召使を抱えて一人で大きなお城に住んでいます。おそらくはサーカスの芸で財を成したのでしょう。このお城のギミックと召使の連携プレーが面白い!ちなみに、このお城はパリから40マイル離れたところにあり、オリジナルの城を倍の大きさにしたレプリカなのだそうです。この巨大なお城のセットが大変効果的に使われています。

第二部(家族サーカス団時代)の舞台は1929年の大恐慌からはじまる10年間です。富豪は無一文になります。でも、全く問題なし。富豪は妻と子供を探し出し、自分たちのサーカス団を結成します。第一部は城の中での話でしたが、第二部は自然を舞台としたオープンセットとなります。このお城という閉じた世界と自然のひらけた世界の対比が素晴らしいです。そして、バスター・キートン、チャーリー・チャップリン、グルーチョ・マルクスへのオマージュが楽しい!本作に影響を与えたフェリーニ監督の代表作『道』に登場するザンパノ&ジェルソミーナのサーカス団もゲスト出演!そして、その時にピエール・エテックスの家族サーカス団が掲げる看板が『8 1/2』です!

第三部は第二次世界大戦からテレビの登場までの立身出世物語となります。これまでの楽しさと美しさが後退して、現実的な話となっていきます。対比としてはわかりやすいのですが、映画としての勢いも若干この第三部で削がれてしまったのが残念です。しかし、エンディングが第一部と第二部に繋がっていく。この構成が素晴らしいです。

昔の映画のことを知っていれば色々と楽しめます。しかし、全く前提知識なしでも非常に美しい映画です。本当に第二部のような生活は憧れます。こんな幸せな生活ができるのであれば、富豪の生活を捨てても全く後悔はないでしょうね。