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パディントン 2のKuutaのレビュー・感想・評価

パディントン 2(2017年製作の映画)
3.8
囚人、インド人、野良犬、退役軍人、ゴミ収集の黒人。誰にでも等しく親切を与えるパディントンが救われていく。衰え行く現実を直視できないまま、「弱者」に責任を押し付ける「不死鳥」のナルシスティックな孤独。イギリスという国への危機感が少し滲む。その役にヒューグラントを持ってきて、エンドロールにあのオチを入れる構成は見事。

文字通り絵本の世界に入り込む快感。後半の伏線回収も良かったが、個人的には序盤の理髪店と窓拭きのアイデアに圧倒された。退役軍人と新聞売りの女性のやり取りも上手い。

今作には、冷たい現実を背景に持ちながらもファンタジーと向き合う泣き笑いの感情が通底していると思う。スラップスティックコメディの体裁を取りながら、社会的なメッセージを伝えるスタンスはチャップリンのようでもあり。

前作以上の盛り上がりを要求される続編の宿命か、喋るクマが許容される世界観とはいえ、SL強奪はやり過ぎな気がした。「移民による犯罪」に踏み込んだからには、世間の偏見が助長される展開があっても良かったのでは。それこそ風呂敷広げ過ぎになるかもしれないけれど…。

演劇、SL、新聞、赤い電話ボックスと、古い英国要素が満載。赤vs緑の色使いはシェイプオブウォーターを連想してしまう。76点。
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