朝鮮戦争の休戦直後、病気がちな息子ヨンナムを連れソウルをめざすウリョンは、「名も地図にもない」という農村に立ち寄る。休戦を村人に話さないという奇妙な条件で村長に滞在を許されたウリョンは、ネズミの害に苦しんでいるという村人たちに、特技の「笛」で駆除を申し出る。見事にネズミを退治したウリョン親子に対し、感謝する村人たちだったが…「ハーメルンの笛吹き男」を原案に、村人が押し隠す戦時下の悲劇や村の巫女ミスクとの恋愛、息子との親子愛といった背景を丁寧に映し出す。超自然要素も若干絡むが、主に笛吹き男の悲哀と動機に焦点を当てたなかなかの翻案。
