賽の河原

ハドソン川の奇跡の賽の河原のレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
3.4
短いというのは素晴らしい美点。
鑑賞前の不安としては一点。「飛行機が落ちてその後の話だよね?尺もつの?」ってこと。
つまり普通に下手な人間が作ると、映画序盤にドーンと着水して公聴会ダラダラになるのが容易に想像できる。どれだけ作り込まれてても公聴会シーン延々と続くのはしんどいからね。そういう意味で映画唯一のアクションシーンとなり得る着水シーンをどう撮るかっていうのは結構難しい題材。
酷い監督なら飛行機が着水するまでの映像で無駄にスローモーションとか多用してダラダラダラダラやって飛行機ディザスターモノとしての動きを担保するところ。
それをイーストウッドは実に映画的で巧みな演出で興味を持続させることに成功している。
妻がどうとか、サリーが事業をやっていてどうとかっていうのはあんまり効果的だとは思わなかったけどその辺は本当に映画作りがうまい。
上映前の予告で「海賊と呼ばれた男」の予告が流れていたが、そういう百田尚樹的なナショナリズムよりは「グラントリノ」「アメリカンスナイパー」そして本作のようなイーストウッド的な地に足の着いたパトリオティズムを私は支持したい。
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