いか

餌食のいかのレビュー・感想・評価

餌食(1979年製作の映画)
5.0
VHSで視聴。
記憶に新しい今年3月に亡くなったロックンローラー・内田裕也の自伝的作品。

多くの方が絶賛しているとおり、この映画は最高にビビッドな映画である。

冒頭、内田裕也扮する外タレのプロモーター・チューヤさんが羽田空港に降り立つ所から物語が始まる。バックにはゴキゲンなピーター・トッシュのレゲエが流れる。まずここで気分が最高にハイになる。
移動バスの中で誰の目も構わずハッパをふかす裕也さんのように見ている私たちも既にラリっているのだ。

そこからはようやく本編が始まると思いきやジェットコースターのように話が進み終わりを迎える。
話は極シンプルで、チューヤさんが日本で広めようとしていたレゲエがふぬけた歌謡曲と商業主義でズブズブになった現代のレコード業界では受け入れられない上に、連中に恋人を薬漬けにされ売女にされていた現実に憤怒し、遂にはその怒りの矛先が連中ばかりかふぬけた時代に踊り狂う民衆へと向けられ大量殺人(今で言う銃乱射テロ)を繰り出すという話。

映画の中身は正直荒削りながらも見応えは充分。そして何より劇中に挿入されているマ・トゥンビによるレゲエが最高にカッコいいのだ。
今ではみられぬ東京の町並みも見所の一つかもしれない。

酸いも甘いも一通り経験した裕也さんの油が載り始めた頃の金字塔的な作品。パリッと決めた繋ぎ姿は、さながら日本のミックジャガーである。

こんな文章みても意味分からないので、とりあえずみて欲しい。
中古VHSならまだ安価に手に入るので、是非とも手に入れ、そして内田裕也のロックを五感で感じて欲しい。

内田裕也の映画を過剰摂取しよう。
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