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ダンガル きっと、つよくなるのmsyのレビュー・感想・評価

4.3
娘たちのために始めたトレーニングだとは
とても思えなかったし
若い女の子の斬髪なんて虐待だし
村中の人に男の子産む方法で
お節介焼かれるなんて絶対いやだし
挙句女の子しか産まなくてごめんね
なんて涙を絞り出すような言葉を
妻に言わせてるし
最低の夫、お父さんなんです。

幼くして嫁ぐお友達、
あんなお父さん羨ましいの?ほんまに?
私やったら人ごとで良かった
って毎日思うと思う。
この子人を見る目あるね。

でもでもでもでも。

目標だけを見つめるマハヴィルはもちろん
彼に仕えることに全く迷いがない妻、
この夫婦が素晴らしいんですよね。

今なんの名誉がなくても
お金がなくても
くんずほぐれつを回避せず
家族を作り上げるっていう夫婦の仕事を
全うしている。
娘たちが可愛い反抗に及べるのも
愛情を浴びて育って来たからこそ。
ナレーションが従兄弟っていうのも
温かみがある。

村の人は分かりやすく手のひら返すけど
インドって生命力溢れる国だなって
楽しくなってくる。

予告編でだいたいあらすじ分かっちゃうけど
オープニングのオリンピック中継とリンクした
マハヴィルのレスリングシーンで
もう痺れた。
以降ずっと痺れ続けた。
アーミルカーンの体作りにも驚愕。
姉が飛行機、妹と父がオンボロバス、
の対比の辺りからどんどん深みを増すし。
音楽もいいよね!ダンガルダンガル!
歌詞が状況説明になってる曲が流れるのも
効率的で本当にいい考え!

種を蒔く描写が丁寧だし
その種が見事に芽吹いて花咲くとあっては
涙の止まるはずもありません。
大事な試合で父がいなくても。
アレ出るよ出るよ、来るよ来るよ、
ってもう期待に胸が膨らみすぎてても
それを裏切らないスローモーション。
音楽が流れて
父の目からも涙が流れ出すあの場面…

すごいなあインド映画。
大胆なのに繊細で。
アーミルカーンも上手すぎるよ。

私たち映画館を出て日常生活に戻って
そこでナニクソーって頑張りたいことが
ある時、
力になってくれるのって
難解映画じゃなくて
やっぱりこういう作品だなあと思います。
久しぶりにいっぱい泣いたわあ。
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