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裸足の季節のもものネタバレレビュー・内容・結末

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

トルコ版ヴァージンスーサイズかと思ったら、もっとリアルで辛く重くそして希望のある話だった。

『イスラム文化の男尊女卑』と思われがちだが、本当のイスラム文化の男尊女卑はこんなもんじゃないと『少女は自転車に乗って』を見て夜うなされた身としては思う。
逃げ出すラーレたちに「行かせてやれ」と言う男性もいたし、きっとどこの国にもある『“古い価値観に縛られた男尊女卑の強い家長”と“古い価値観から逃れられない年寄り”のいる“特に保守的な家”の話』
せめて叔父が本当に彼女たちの幸せを案じた結果の行き過ぎた束縛であればまだマシだったけど、結局のところ身内の女性はどんな風に扱ってもいいと思っている描写が、(今のそうだよね?)と思うくらいさりげなく挟まれているのがとても残酷だった。
処女検査を受けさせるくらいなのに恐らく性的虐待をしているとは。

姉たちの性格が四者四様に書き分けられていて、確かに末っ子のラーレは学校に行かせてもらえずとも利発で行動力もある子どもだが、その姉たちの姿をきちんと見ていた結果自分で運命を切り開いたのがよくわかる丁寧な描写だった。
なのに『野生馬』を『裸足の季節』にした邦題とムリやり奪われた自由を『夢見る季節は終わりが来る』と書き換えたキャッチコピーは本当にひどい。

若い年で結婚させられる少女たちはもちろんとてもかわいそうなのだが、同時に同じように知らない少女と望まない結婚させられる男性もいること(少女たちよりもずっと自由がきくとはいえ)、自分の結婚相手にプロポーズするのが自分の父親という男性も少しかわいそうに思う。
ラーレを助けてくれる“男性”ヤシンはあの田舎で髭も薄く長髪だから侮蔑の意味でのオカマ扱いされてるんだろうことも、すごくさりげなく描かれている。

瑞々しく美しい5人の少女たちが閉じ込められてくすんでいく様、そこから抜け出したラーレの『野生馬』のような凛々しい横顔のラストカットがとてもよかった。

しかしこういう映画を『オシャレ女子必見!』って宣伝に書く感性はあまりよくわからない。
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