エクストリームマン

ミッション:インポッシブル/フォールアウトのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

4.4
Which way, Benji?

トム・クルーズ×クリストファー・マッカリー監督のコンビネーション、第三弾。クリストファー・マッカリーの脚本参加含めると五度目くらい?

シリーズ6作目にして、イーサン・ハントとは何者か、そのバイタリティの根源がどこから来るかが描かれる。前作の我々=スパイとは何者なのかというテーマを更に突き詰めた結果なのかな。シリーズモノ主人公の異様なまでの活力と行動力の背景が描かれるのは珍しい気がする。しかも本作の場合、(諸事情により)なかったことにされていると勝手に思っていた彼女が重要な要素としてそこに絡んでくるとは。あまり事前情報を入れずに観たので、嬉しい驚きだった。

イーサン・ハントについての物語は、同時にイーサン・ハントを演じるトム・クルーズ自身についての映画でもあったように思う。彼が人生でも映画の中でも何故走り続けるのか。答えは彼のひたむきで無茶なアクションの中にある。

シリーズ新顔のヘンリー・カヴィル演じるオーガスト・ウォーカーは、さすが契約で髭面を維持していただけあって(『ジャスティス・リーグ』のスーパーマン追加撮影場面の顔が軒並み不自然になった原因)、『マン・オブ・スティール』とは全然違う印象だし、『コードネーム U.N.C.L.E.』ともまた違ったキャラクターで面白かった。シンプルで迂闊な奴…というスパイとしての「カヴァー」と、元々の彼のキャラクターの間にそれほど差がないことが逆に混乱を齎すところが面白い。なんだかんだ優秀なのだろう。

前作からのヒロイン:イルサ・ファウストを演じるレベッカ・ファーガソンが、今作でもとても良かった。前作のローグ・ネイションは、イーサンと彼女のお決まりみたいなキスシーンで終わらなかったところが本当に素晴らしいのだけど、今作でも撮影したキスシーンを結局使わない選択をしていて、クリストファー・マッカリーはその辺り実によくわかっているなと。パリでの容赦ない刺客としての彼女も、イーサンを尾行する彼女(のコートがとてもいい。イルサに限らず、ホワイト・ウィドウがイーサンとの密会時に着ていたコートも、オーガスト・ウォーカーのコートも、みんな良かった。コート映画だな)も、ラフな山岳装備っぽいで立ち回る場面(緩い三つ編みがとてもよい)も、どれも良い。このシリーズのレベッカ・ファーガソンが本当に輝いている。

本作の主題がイーサン・ハント自身になったことで、最大の煽りを受けたのはソロモン・レーン(ショーン・ハリス)に違いない。ある意味前作とは真逆のキャラクターに…まぁ、彼もバイキンマン的にシリーズに出続けてほしいものだ。

それにしても、人の走っている姿にこれほど見入る映画もそうない。