あさのひかり

日本で一番悪い奴らのあさのひかりのレビュー・感想・評価

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)
4.2
これが完全なフィクションだったとしたら、すごく面白いって思えるんだけど、面白くちゃだめなやつ、って考えると恐ろしい。作品としての面白さと、実話ベースであることからくる空恐ろしさ、そのバランスが何とも絶妙で気持ち悪い(ほめてる、事件そのものはだめだけど)。

諸星の行動はとんでもないんだけど、組織に馴染んでその中で成功したい、っていうのが根元にあって。諸星も狂ってるんだけど、それは彼が根を下ろしたところがもともと狂ってたからこんな風になったってのがあって、最後の言葉ま でそんな元々の意思に満ち溢れてるのも恐ろしい。もちろん駄目ではあるけれど、彼が生きてる場所に過剰に馴染んだ結果、とも言える。あんなタチだから、出入りする裏社会にも過剰に馴染み過ぎてそういう人にしか見えなくなっちゃうんだろう、って思えたり。あと、悪いことしまくってても全く悪い人でもないんだろう、無責任だけど時々見せる愛情みたいなのとか、 最後の方の狂ったような手書きも本気で書いてるだろうところとか、そこもまた何とも言えない気持ちになる。こんな何とも言えない役を綾野剛熱演だった、人間くさくて本当良かった。

この事件って許されないことだしとんでもない闇ではあるんだけど、最後に淡々と文字で説明された部分こそいちばんの闇な気もする。

ところでススキノって街は、この映画と「探偵はBarにいる」のシリーズでしか知らなくて、どっちもよく似たギラギラした感じで、一人で歩くのはちょっと怖いかも、みたいなイメージなんだけど、実際のところどうなの?と北海道未踏者としては思っている...。
あさのひかり

あさのひかり