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君の名は。のtakatoのレビュー・感想・評価

君の名は。(2016年製作の映画)
1.0
 去年の「バケモノの子」に続くガッカリ夏の大ヒット作品。細田さんといい、何故つまらなくなってからの方が売れるようになったのか甚だ疑問。単にマーケティングや宣伝の勝利だったのだとしたら、本当に虚しい。

 ネタバレありのレビューは、「シンゴジラ」と同じくコメント欄に書きますが、こちらではあまり内容に触れないレビューとします。

 まず、絵的な美しさが弱い!。今作だけ見てれば十分丁寧で綺麗にまとまっていると感じられるかもしれない。しかし、新海さん作品を長年見てきた人間としてはまるで物足りない。最近の細田さんもそうだが、雄大な景色や自然こそ美しい背景だろ!という感じで田舎という舞台を持ってくるのも安易。普通の東京の街並みをリアリティスティックに描きながらも、ちょっと臭いけど詩的な物語に相応しい詩的な舞台にまで高めていた従来の新海さんの魅力は本作では薄い。

 キャラクターデザインに「あの花」、「心が叫びたがってるんだ」などの田中さんがやってくれると聞いた時は、正直私はガッツポーズした。新海さんは、正直キャラクターデザインの魅力という一番シンプルかつ重要な要素が決して強い人ではなかった。そこにキャッチーかつ微妙な表情も表現できる田中さんの大好きな絵力が加われば凄い物になるかもしれんと期待したのです。しかし、予告などを見てても思っていたことなのだが、あれ?というくらい印象に残らないし、可愛くない。メイン二人がそんなんだから、脇役なんて魅力を覚えるどころか、名前もろくに覚えられないし、それぞれ物語の進行上の駒くらいにしか思えない不自然さすら感じてしまう。

 物語的なことをどうこう言う前に、このPVみたいな作りは何なんだろうか?。opもPV、中盤もPV、クライマックスもPV、なんでこんなヘンテコな構成でみんな疑問に感じないのか?。

まぁ、一番の問題の穴だらけな脚本に比べればみんな些細な問題だろう。二人が恋におちる描写、主人公やヒロインを魅力的に輝かせる描写、サスペンスな状況が解消される描写、脇役が無茶な行動してくれる理由となる描写、全てが抜け落ちている。現実的であれ、論理的であれなんて言わないが、ちゃんと作中内説得力を持たせて頂きたい。キャラクターたちが恋におちるなら、観客もそりゃあ恋しちゃうよねってニヨニヨさせてくれないと。
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