いかやき

君の名は。のいかやきのネタバレレビュー・内容・結末

君の名は。(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

色々まとまっていないので最初にざっくり言っておくと、「とても重要な何かがあるような気もするが、それ以前に見ていられないところが多いので全体的には低評価」という感じです。あと最後の方に千と千尋のネタバレがあるので注意。ちなみに劇長です。以下本文。



とりあえず、感動ラブストーリーとしてはとても微妙。「RADWIMPSのMVプラスおまけの話」としては結構いいと思う。

とにかく1つ1つのネタ、展開がベタすぎ・媚びすぎで見ていられない(特に『前前前世』に乗せた丁寧な解説のくだりの前まで)。軽い気持ちで見るには悪くないよね的な、かなり雑な深夜アニメを劇場で堂々と見せられているような気分。家で気楽に見たい。

全体的な展開も言うほどではない。後半以降はあまり驚きもないし、そこまで上手くもないというか、かなり無理もある。

一方で、あの解説MV(前前前世)は一周回って大好き(本当に嫌味ではない)。一本の映画の途中で「ここから見る人でも問題ないです」レベルの解説ってなかなかないよね。

その他も曲の流れてるところはMVとしてかなりいい。新海誠は5分以内の映像なら天才だと思う(これは半分嫌味)。



と第一印象では思った(し、今もそれ自体は変わっていない)のだが、帰り道にあれこれと考えていたら「これテーマ的な面ではかなり面白いのでは」と思い始めた。

つまり、全体の構成において一貫して鍵となっている「物事を後から知る/気づくこと」および「知った/気付いた時には手遅れであること」について。

この構造は、冒頭で三葉が入れ替わっていたことを翌日に人から聞いて知るところから始まって、その後全体に渡って繰り返される。

例えば1つ1つの入れ替わりがそうだし、三年前の事故についても、2人が会っていたことについてもそう。(奥寺先輩が瀧君に「君は前は私のこと好きだったけど、今は他に好きな人がいるでしょ」というのも、少しズレているけれど似たものがある。)ほとんどのものが、「後からわかる手遅れなこと」として描かれる。

こうして、「後になって失ったことに気づく」ようなカタストロフィと喪失に見舞われる"セカイ"と、「後になって好きだったことに気づく」ような青春ラブストーリーの中にいる"きみとぼく"がつながれている。

で、結局はその両方を取り戻すためにループというゲーム的な解決が提示される。

ここまで考えたところで、だから何なんだ…?ってなってしまったので、とりあえずここでやめます。


また、ちょっと別の話だけど、すごく千と千尋のクライマックスのシーンを思い出した。以下セリフ。

「ハク、聞いて。お母さんから聞いたんで自分では覚えてなかったんだけど、私、小さいとき川に落ちたことがあるの。
その川はもうマンションになって、埋められちゃったんだって……。でも、今思い出したの。その川の名は……その川はね、琥珀川。あなたの本当の名は、琥珀川……」

ここだけで、
1忘れていて、後からお母さんに聞いた
2今は無くなってしまった風景
3ずっと昔に出会っていたことに気づく
4忘れてしまった名前をずっと探していた
ぐらいの共通点が見られる。

こっちもなんかもっと色々考えられそうなんだけど、よくわかんないのでここでやめます。いつか追記するかも。以上。