ぽとむさん

神様メールのぽとむさんのレビュー・感想・評価

神様メール(2015年製作の映画)
1.0
『神様メール』これはあれだ。ボンクラ小説ばかり書いてて好きだった小説家が突然なんかふいに妙にハッピーっぽいもの書き始めて、「なんか違う…」と思ってたら、実は作者がその頃結婚してました!みたいなアレだ。知らんけど!監督は「年をとったからアンハッピーが辛くなって」と言っていた。
私は『ミスター・ノーバディ』がなぜ当たらなかったのか、本当に全く理解できなくて、私が絶賛するものは大概全然当たらないし、日本の2年後に公開されたアメリカでも当たらなかったから、普遍的に当たらない映画なのかもしれないけど、『神様メール』が当たる方の映画なのかはさっぱりわからないけど、当たるのかなあ?とにかく、方向性をずいぶん変えてきたなあと感じ、驚き、がっかりもした。
監督自身は無宗教とのこと。私も全く宗教は信じないし、ベルギーの宗教事情にもあかるくないためか、神様(人が信じている神様)の重さが見えなくて、だから神様パパとエアのカウンターが空砲に思えて。例えば『トト・ザ・ヒーロー』でキリスト像を破壊したりラストで焼いて撒いたりした(びっくりした)のはカウンターになってて重かったんだけど。
『ミスター・ノーバディ』『八日目』『トト・ザ・ヒーロー』ではあれだけもがいて得られなかったり得られたりする運命の相手が、『神様メール』ではポンっと奇跡で得られてしまうのが、わざと安っぽいのか何なのか、私はこの安易さは、実際には絶対不可能であることの、絶望の裏返しのホラ、大変残念なことに、神様のチート能力がなければ実現できないくらいありえないことなのだという主張に見えてしまった…。
特に性的妄想者のくだり、女性側の心情が全く見えなくて、ただ一方的に使徒に都合のいい展開のように見えて冷めてしまった。それがエアの「支配する力」なのかもしれないけど、だとすると、もしかしてゾッとするところ、なのかな?
ドルマル作品は音楽がキーになることが多いのだが、今回は能力に関連するにもかかわらず、効力が弱いと感じた。『展覧会の絵』の「水族館」が多用(アレンジも)されてて、最初はパパのテーマかと思ったら違うみたいだし。エマの人の音楽を読む力も、『ミスター・ノーバディ』のおもらし未来予知的な勘違い思い込み超能力かと思ったんだけど…という感じ。曲も、『ミスター・ノーバディ』のようにニモ9歳前後の曲で伏線になってるとかではなく、わりとバラバラで、スポーツ番組で流れてた曲でもなさそうだし。詳しいと何かわかるのかもだが、私にはわからなかった。