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好きにならずにいられないのkouのレビュー・感想・評価

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)
4.0

アイスランドの飛行場で勤務する43歳独身の男フーシ。彼は飛行場でトランクを運搬する仕事をしている。女性と付き合ったことがなく、第二次世界大戦のジオラマで遊ぶことが趣味だ。あることから一人の女性と知りあい、彼の人生は変わっていく。

ダーグル・カウリ監督の撮り方がとてもうまく、特に映画の冒頭の数分で手際よくフーシについてを表し、それでいながら映画のテーマ的な部分まで提示する。特に俯瞰で遠いところから映すショットは、最初と最後で飛行場の持つ意味が全く変わっていることに感動させられる。彼自身の物事との距離についての物語なのだ。

とても不器用で、自分の中の世界で生きているフーシ。彼はとてもやさしく、だけど人付き合いが苦手だ。彼がうつ病を持つ女性と知り合い、恋をする。そこには恋愛の楽しさも、悲しさや辛さも描かれている。ただそれは単純なラブストーリーではなく、人と一緒にいることだけがお互いの救いにならないこともあるという、悲しさまでも描く。

とてもビターで、切ない作品だが、とても愛らしく、感動的な作品だと思う。冬の寒い日、少し薄暗い曇った日に、とても似合う作品だと思った。素晴らしかった。
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