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デンマーク発の戦争映画だ。
アフガニスタンでのタリバンとの戦いと戦争犯罪を巡る物語である。
非常に考えさせられる映画だ。
戦場で戦う兵士は究極の緊張と混乱の中、瞬時に判断を下して様々な戦闘行動を行わなければならない。
頭の上を銃弾や砲弾が飛び交う中である。
その判断が遅れたり間違ってしまうと、自分だけでなく仲間の命まで危険にさらしてしまうのだ。
彼らは仲間を救うため、その場で最善と思われる判断を下して戦うのである。
しかし、この判断によって現地の民間人の命が奪われてしまったとしたら、どうだろう。
故意か過失に関わらず、これは法的に戦争犯罪なのである。
全く故意ではない。
目の前の危機を回避するために下した判断が、結果的に民間人の命を奪ってしまったとしたら。
果たして彼は罪に問われるべきか否か。
裁判における大きな争点(敵の軍事施設の有無)はあるのだが、要はそういう物語だ。
戦地での過酷な状況や兵士たちの心情に思いを致す事なく、冷たい原則論で断罪する人々。
無条件に兵士たちを称え、戦地で犠牲になった無辜の一般市民の事を一顧だにしない人々。
また、そういう事に全く関心のない人々。
最も罪深いのは一体誰なのだろうか。
そんな事を考えてしまう作品だ。
まあ、変なプロパガンダ的思考は捨てて、純粋に人間ドラマとして観ていただきたい作品だ。
主人公の苦悩は終幕後も続くのであった。