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ある戦争のharuのレビュー・感想・評価

ある戦争(2015年製作の映画)
3.5
「世界で最も幸福な国」であるデンマークの闇。

ひさしぶりの北欧映画。相変わらず暗い!後味悪い!でもこれが現実です。

アフガニスタンに駐留するクラウスは、瀕死の仲間を救うべく、結果的に罪なき一般市民11人を殺害してしまう。彼の判断は正しかったのか。

難しいです。人を殺すことが誤った行為であることは言うまでもないですが、主人公の場合はそうしなければ仲間を救うことはできませんでした。四面楚歌な状況で冷静な判断を下すのも難しいし、仮に冷静だったとしてもどうするのがベストだったのか、私にはわかりません。あのときクラウスが爆撃を指示せず、その結果仲間を亡くしたとしても、彼は後悔したと思います。そもそも第6地区に敵がいたのかいなかったのか、それ自体もわからないし、そんな明らかに情報が足りない中で上官として判断を下さなければならないクラウスの立場。これは法務官も含め、裁判に立ち会った全員が理解していたこと。誰もやりたくないことをやっている人に対して「あなた間違っていますよ」なんて、言えない。
法令を遵守した戦争なんて不可能です。命がかかっているときに、法律やら倫理やらが頭に浮かぶ人なんていない。しかしだからと言って「何でもアリ」にしたら、とんでもないことになるという、法務官の主張も至極正しい。軍隊を持つ国には、責任があります。間違いを犯したら、責任をとらなければなりません。
「殺すための暴力」と「守るための暴力」、視点を変えれば入れ替わってしまうことに気づきました。
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