Yoshishun

ダンケルクのYoshishunのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.8
“無駄に凝り過ぎか”

1940年、敵国に追い込まれた40万人の英仏連合国兵士の脱出作戦が決行された。世界史でもあまり取り上げられることのないその戦闘は、ダンケルクの戦いと名付けられ、史上最大の撤退作戦として何度か映像化されてきた。ただの撤退作戦のようにみえて、今後の戦闘に備えた人的資源の確保を目的としていた。この戦いが無ければ、ノルマンディー上陸作戦も、ヒトラー率いるナチス殲滅も叶わなかった。そんな題材をノーランが普通の戦争映画として撮るはずもなく、1時間、1日、1週間という3つの時間軸+陸海空3箇所での戦闘描写という入り乱れた構造をしている。

無駄に複雑な構成と、特に時間軸をいじったのも、やはり日常と戦時下の非日常との落差、そして緊張感の持続のための演出ともとれる。しかし、やはり監督特有の時間トリックに作家性を見出しすぎて、今回は戦争映画でそれを採用するのには相性が悪すぎたように思えた。

勿論、アカデミー賞に輝いたのも納得の音響と映像であり、戦場への没入感は凄まじい。陸海空という3箇所での撮影方法も音響が絶妙に調整されているようで、ノーランブランドに偽りなし。





‥‥そもそもこれ戦争映画なのか?
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