愚禿観照

ダンケルクの愚禿観照のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.3
史実だからこその作られた話感がなくて、実に戦争らしい、殺伐とした空気感が常に漂っているのが良かった。

けど、自分は話に一本の筋が通っていて、起承転結のある、または観る者に向けた監督の伝えたい意図がハッキリしている映画の方が好きなんだなって改めて思った。

とにかく台詞が少ないのが印象的。

ストーリーを作るような台詞が全くないっていうのが、観ててこれは映画として成り立つのかって?終始不安には感じていたが、

主人公という主人公がおらず、かといって群像劇でもなく、まるで自分がそこにいる当事者のような気持ちにいつの間にかなっていて、下手な映画より十分作品の世界に引き込まれていたように思う。

それもこれもノーラン監督の卓越した映像センスと構成力の見せる技なのだろう。

もし並の映画監督が同じようなテイストで真似て作ろうとしたら、きっと映画として成り立たないどころの話じゃないはずだ。


もはや面白いとか面白くないとかじゃなくて、淡々と目の前で戦争が展開されているという、物語などあってないような作品なので、半ば息抜き感覚で鑑賞してしまった身としては評価を付けるのが難しい。
この作品はまた改めて、腰を据えてしっかり観ないといけないな。
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