"チクタク"が耳から離れない。
映画というより、これはもうアトラクションですね。
劇場の空調のせいもあったかもしれないけど、ずっと手汗がすごかった。なんか疲れたわー。
始まったと思ったらなんの前触れもなく、いきなり戦場に放り込まれる。
鳴り響く銃声。
音がでかい！ビビるって。思わずビクッとなってしまった(隣の席の人すんませんでした)。
そこから市街地を抜け海辺へたどり着くと、たくさんの兵士達が列をなしている。
おーい、誰かなんか喋れよ。状況を説明してくれ。
っていうか、さっきからチクタク音が怖えってば。
と思ったら、空から爆撃が！
兵士達が無残に吹き飛ぶ。桟橋は破壊され、停泊していた船も呆気なく沈む。海に飛び込む兵士達。
だから音が怖いんだって！
やっと救助されたと思ったら魚雷で船は沈むし、見てるこっちの心が折れそうになる。嫌な音と緊張感が劇中ずっと続く。
陸海空の3つのパートからなるこの映画、とにかく何の説明もない。キャラクターの描写も希薄だし、台詞らしい台詞もほとんどない。
絶望的な状況に右往左往する兵士達のように、観る側も頭が混乱する。
そんな中で映画らしいヒロイックな活躍が見れたのは、スピットファイアのパイロット、ファリアのパート。
スピットファイアとメッサーシュミットのドックファイトが見れるなんて感激！
レシプロ機ならではの接近戦はマジかっこいい。しかもCGなしで撮ったなんて信じられない。
戦争映画は近年でもいくつか大作があったけど、これだけの空戦を描いた作品はなかっただけに、もう大満足。
それにしても今作、敵のドイツ軍がほぼ姿を見せません。そして戦争映画にありがちな、いわゆるグロ描写は全くといっていいほどなく、血の描写すらなかった。なので戦場を舞台にしているけど、戦争映画を描こうとしている感じではなかった。
とにかくノーラン監督は余計なものを排除して、"生きて故郷へ帰還する"という兵士達の姿を象徴的に描くことに集中しているようでした。
ノーラン作品にしてはかなり短い106分の上映時間ですが、没入感のせいか体感的にはもっと長く感じた。
それくらい、IMAXの大きなスクリーンや音響、臨場感は作品に大きな影響を与えています。
かなり実験的な映画でしたが、作品を"体感"したいなら、少なくともIMAXで観るのは絶対条件ですね。
