青いむーみん

少女の青いむーみんのレビュー・感想・評価

少女(2016年製作の映画)
3.4
 勿体無い…違う脚本、監督ならもっと良くなったはず。正直原作が素晴らしいとは思っていない。7年ほど前に読んだようなので記憶はほとんどないが、告白読了後すぐに読んだらほぼおなじ世界観でうんざりした記憶がある。だが決して面白くないわけじゃなかった。もっと上手くやればできたんじゃないか?と思っていた覚えがある。そしたら映画も同じような感想だった。原作の修正を出来たはずなのにだ。はっきり言って真剣佑の役は都合良すぎるから削れるように頭をひねるべきだ。型に嵌まったようなイジメとそれを行う女子高生達の演劇的波長合わせ感も古い。古いことに意味があるならいいが特にあるようには感じられなかった。おそらく観た人のほとんどがすっきりしないのが死への関心の意味だ。あれの一番の目的はミスリードするためにしか思えない。他にもミスリードするためだけの態度・行動が多すぎて歪。死をほのめかしまくる意味の薄さはちょっと閉口してしまう。後付で配役を振ればどうとでもなる真相たちも上手くない。演劇のような物語の外側にある遺書語りからの水中シーンは何かインスピレーションがあったんだろうけど特に何もない。あと、リーダビリティのなさも問題。どうなってしまうんだろう?という興味の選別、強調が上手くないからなんとなしに流れている時間が長かった。など、もっとスマートにやればいい映画になっただろうにと惜しさを感じる。
 良かったのは本田翼。異論がある人が多数いるかもしれないがはまり役だったと思うし、基本無表情からの笑顔のコントラストがたまらない。ああ、私が好きなだけですよ、そうですよ。だからこそ余計に残念に感じる。ド真ん中の本筋はすごくいい話なので肉付けがぬるいことが足を引っ張るというのは本当に残念だ。