ブタブタ

映画 聲の形のブタブタのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
5.0
聴覚障害を扱った作品なのに何故字幕が付かないのか、と言う意見が湧き上がっている様ですが。
自分は「なら全部の映画に字幕を付ければいい」と思います。
でもそれに深い考えは全くなく邦画に字幕が有ろうが無かろうが自分は別にどっちでもいいし興味ないと言う事です。
「聴覚障害者の為に全ての映画に字幕をつけるべき」の意見の人にも、何故か頑強にコストの問題やら色々理由を付けて「字幕をつけるな」と言う意見の人、どっちの側にも入りたくありません。
「個人用字幕機」みたいな個人で装着し自分だけ字幕が見れる器械が有るそうです。
全ての映画館にある訳ではないようですが。
その存在も『聲の形』を切っ掛けに知りました。

『映画・聲の形』は24時間テレビみたいな感動ポルノとは別次元の作品だと思いますがファンタジーだと感じるのは否めません。
「映画≒ファンタジー」と言ってもいいかも知れませんが。
アメリカとかだと学校に肌の色や宗教が違う子、車椅子や手足がない子が普通に居て聾唖者が転向して来た位では騒ぎにもましてドラマや映画にはならないでしょう。
聾唖者の美少女・硝子は優しくて信じられない位のいい子ですけどギリギリ現実に存在しててもおかしくないレベルに設定されてますが、硝子の存在って言うなれば『ラピュタ』のシータとか将也にとっての「ある日空から降ってきた女の子」みたいなモノでは。

ヒロインが何かの理由(世界を滅ぼす力とか実は宇宙人とか、今回は障害)で周りから迫害を受ける。
それを主人公の少年が立ち上がり守る。
「聲の形」はこの迫害する役と守る役が過去の将也と現在の将也と言う同じ人間によって行われていると思いました。

障害者が頑張ってる姿を見て消費する「感動ポルノ」全ての障害者はいい人・善人・天使と言うのとは逆方向の誤った表現が最近ポツポツと出始めた様な気がするのですが。
『ザ・トライブ』と言う聾学校を舞台にした全編字幕無し台詞なしと言う映画。
大嫌いな映画なので(笑)かなり偏見に基づいた意見ですが、聾唖者の若者たちのセックスドラッグバイオレンス。
スケールヒエラルキーや売買春やクスリの密売、グループの抗争やら登場人物は一人残らずクズばかりで「聾唖者」による実験映画(?)でなければ何の見る価値もないゴミ映画でしたが。
スポーツ関係では車椅子ラグビーの選手の確かドキュメンタリー映画で何かやたらと「ワル」である事を強調してたような。
乙武と言う人を見れば四肢が有ろうが無かろうが初めからクズはクズに変わりないと分かると思います。
障害者を過剰に善人又は特別扱いする。
障害者でも健常者と変わらない事を強調する為か、障害者だけど女が何人もいるとか、障害者の俺より健常者のお前らは下だとか、障害者は善人と描く必要も無いですが不良やヤンキーのファッションをした人達(EXILEみたいなの?何ていうんだろ?)みたいに描く必要も無いと思います。

話がそれました。
『聲の形』はあらゆる出来事が解決した様に見せて実際には何も解決していない様に思います。
いじめた相手(将也)を好きになるとか有り得ないって意見も聞きますが「将也は己の行為を深く反省し誰とも関係を持たず後悔と贖罪の孤独な日々。硝子に謝罪し許しを得た」
だと非常に安っぽく安易な内容になってしまうのですけど、硝子が将也にいじめや嫌がらせされていた時何を思っていたのかは描かれていない為分かりません。
硝子のある行動も一応自分が周りに迷惑をかけるからと言う理由は説明されますがそれも本心なのか分からないし、結局のところ硝子が何を考え(あの行動の)何が目的だったのかは謎のまま。
硝子と将也がどうなるかも分かりませんし答えは無いのでしょう。

この作品に殆ど唯一と言っていい「救い」は長束君の存在で将也を真の意味で救ったのは長束君だったと思います。

それからタレント吹き替えについて。
『君の名は。』の長澤まさみ、本作の松岡茉優、主人公から数えて3・4番目あたりのキャラクターに有名な非プロ声優をあてる。
これはちゃんとした芝居が出来てなおかつ人気タレントを入れる事で作品のクオリティを落とさず、バラエティ・情報番組で宣伝して貰えますし、更に宣伝で関係ない芸人やタレントを呼ばずに済む、そして「イメージソングEXILE」等を排除するのが目的では?
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