Kazu

ウィッチのKazuのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
4.0

人間は生まれながらにして「原罪』を背負っている。
神話的な考えですが確かに頷ける、人間とは元来、強欲で身勝手な生き物なんだと見せつけらる今作。


数年前に鑑賞した記憶があるのだけれど何故か内容がイマイチ残っていなくて、

『ライトハウス』流れで再鑑賞したところ、『ウィッチ』は途中で観るのをやめてしまっていた事に気づきました。


アニァ演ずるトマシンが自身と重なる要素が余りにも多くて苦しくなりラストまで観れなかったんだと思います。

私は魔女でも悪魔でもありません(いや、魔女かも🤣)
家族の中で、しかも女として俗に言う親に"口答え"をする子供だったのですね(可愛くない)

そんな子供は勿論、親は嫌います、そして女性劣位、蔑視な考え子供は親に従い矯正されるべきである考えが納得のいかない部分でもあった。


でも、真面目に自分に偽りなく生きることを信じ誰にも迷惑かける事なくこれまでの人生を生きている私にとって、トマシンの置かれた環境が苦しくて仕方がなかったのだと思う。


最小のコミュニティである家族、しかも社会から孤立した世界で繰り広げられる些細な嘘や裏切りが心の弱い人間に大きな波紋を呼びおこす、という現象は根拠のないニュースや情報に惑わされる現在にとても共通していると強く感じた。



子供に対する倫理や、模範をたてに抑圧する父親。
しかしそれは家父長的、父親の権力をかろうじて維持するため都合よく利用しているだけで、本来は脆弱で欺瞞的な男である部分をトマシンに告発されてしまう父親。
確固たる父親像が見事に崩れていくシーンは見事です。

家族の中でさえ人を陥れ騙し憎しみ合う、なんと言う罪でしょうか?
無信仰の私には宗教というものが未だに人の心を都合よく操るものであるとしか考えられない。

人間の心の闇を見事に映像化し、ゾクゾクした不気味な世界感に又もやられてしまった。

『ライトハウス』のパンフレットで

"カモメや山羊を重要な役割で使う事"

がとても難しかったとエガース監督が話していたのが面白いなぁ〜と思っていて、
今作でしっかりと迫力ある山羊の演技を見届けることができて良かったです😊
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