TAK44マグナム

SURVIVE/サヴァイブのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

SURVIVE/サヴァイブ(2011年製作の映画)
2.7
惜しいけれどポンコツ。


尺が70分ちょいしかないということで気軽に観れるかと思い、鑑賞。
結果、意外と陰鬱で殺伐とした、安上がりなホラー映画でした。


リーマンショックかサブプライムローン問題か、とにかく住民の家が売りに出されてばかりいる貧困はびこる街で、何故かタダ同然で家を手に入れたマット。
早速、大学時代の友人たちを呼び集めてホームパーティをすることに。
しかし、目的はただひとつ。
ずっと想い続けてきたリサに会いたいがためであった。
折しも街では殺人事件が多発中。
どうやら謎のマスクマン殺人鬼が、家を失った者や新しく買った者を標的にしているらしい。
そんな噂を知りつつも、パーティで馬鹿騒ぎに興じるボンクラたち。
だが、今宵の標的こそ彼らであることを、殺人鬼以外はまだ知らないのであった・・・


という、平屋の家一軒のみを舞台としたスラッシャーホラーであります。
それなりの人数が残っているうちに事件が発覚するので、みんなで一斉に家から走って逃げちゃえばよいのにと思うのにしない。
それにはちゃんと理由があるのですが、それも含めて、やろうとしていることは理解できるんですよ。
伏線をはりかたが下手なだけで、よくよく観ると「ははぁ、なるほど」と膝を打つことも出来るのに、本当に惜しい。
日本だと綾辻行人あたりが暇つぶしに、鼻くそをほじくりながら考えていてもおかしくないプロットです。
ただ、肝心の部分がわかりにくいので、サプライズポイントで全く驚けませんでした(汗)
「え?あんた誰?」ってなっちゃったもの。
尺が短い割に登場人物が多めなんですよね。
それがどんどん死んでゆくのは豪快なんですけれど、時間かけてないぶん駆け足で殺されちゃって、結果的に淡白になってしまっているのも残念でした。

殺人鬼のスタイルやそのほか諸々から、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を「スクリーム」風にやってみたかったのかもしれませんが、くだらないオチの蛇足感もダダ滑りで、全体的にいまひとつパッとせず。
終盤のジメジメとしたサイコパスな雰囲気は、どちらかというと邦画のスリラーによくある感じで、何も救いが無かったです。
死体の数はすごいので、それを思うと殺人鬼の狂いっぷりにドン引きですな。
動機が超身勝手だし。

そういえば、本作にもアメリカ映画あるあるな「真実か挑戦か」ゲームが登場します。
要は王様ゲームみたいなものですが、本当にアメリカ人ってこのゲーム好きですねえ。
特にホラー映画によく出てくるような気がします。ボンクラな若者たちがキャンプファイヤーでやったりするんですよね。
登場人物の性格や嗜好がよく分かるので重宝されるのかもしれませんね。

キャスト陣は、知らん俳優さんばかりでしたが、まったくイケてない男性陣と比べて女性陣は割と可愛いです(←当社比)
しかしながら、オッパイは無し。
最高の露出で水着ですから推して知るべし、
エログロにはあまり期待できません。
(最高度のグロで、生首さんこんにちわ!のカット程度)


まぁ何というか、映像から感じ取れる安さを払拭して、もっと重厚感のあるキチンとした映像であれば、また違った評価になりそうなだけにインディーズ臭が抜けきらない仕上がりにゲップが出そうになりました(苦笑)
それと決定的にダメなのが、人間を描けているようで描けていないというか、「このキャラクターはこう考える」、「このキャラクターはこう動く」みたいに、パラメーターが決まっているような感じが透けて見えてしまっているんですよね。
人間の感情を数値でしかはかっていないというか、まるでアドベンチャーゲームを流して観ている、または出来のあまり良くないラノベを読んでいる気分と言いますか(汗)
ほとんどの登場人物が殺され要員だから仕方ないのかな。

文句ばかりになってしまいましたが、あとひとつだけ。
本作の最大の特徴として、ご丁寧に全員もれなく死ぬ時に走馬灯(フラッシュバック)が見えるのですが、この走馬灯によって、それぞれの人物の立ち位置や事件の内幕を説明してくれます。
つまり、普通なら回想シーンを挿入して補完するところをわざわざ死ぬ時の走馬灯で同じことをやっているのですが、これが正直ウザい(汗)
死ぬだんになってようやく、「どうしてパーティに参加したのか」なんて分かっても、だからどうしたですよ(苦笑)
どうせ走馬灯を見せるなら、もっと巧く活用すれば良いのに、これじゃ「とりあえず何でもいいからフラッシュバックさせておけば格好いいだろう」みたいな、頭の悪い使い方の見本にしかなっていないと思います。

そんな事よりも、もっとエログロを頑張って欲しい。
こういった(低俗と言っては語弊がありますが)ホラー映画に求めるものは所詮、エロとグロなのですよ。
捻ったプロットをこれみよがしに見せびらかすような幼稚さよりも、オッパイや首チョンパする瞬間を見せびらかす幼稚さを、もし次回作があるならお願いします。
でも、この監督・脚本のライリー・ウッドって人、今のところ本作以外の活動が分かりませんね。
「すごいの思いついちゃったから、とりあえず映画撮るか!」ってノリだったのかな・・・(汗)


アマゾンプライムビデオにて