涼

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ、自由への闘いの涼のレビュー・感想・評価

4.2
 まず、ドキュメンタリーとして、対象への密着の仕方が優れていると思った。
 武力行使するベルクトへ命がけで抗議する市民の中に、カメラが入っている。

 エフゲー・アフィネフスキー監督の、次の作品「シリアからの叫び/シリアの悲痛な叫び」はフィルマークス評価4.3となっており、力量のある人であることが分る。

 何の抗議行動もしたことのない平均的日本人の内の一人である俺からすれば、あんな武力で押さえつける国家権力に逆らっても無駄なんじゃないかという思いを拭いきれなかったが、あの幕切れに唖然とした。

 ウクライナの歴史を知らない。その国家の誕生から現在までの歴史を知れば、本作に描かれる2014年のマイダン革命の位置づけなどももっと良く理解できるのだろう。

 このマイダン革命で、最後まで闘って勝利をものにしたという体験が、今のロシア侵略に対して決して降伏しないというウクライナ国民のよりどころになっているのかもしれない。
 現実に、このマイダン革命で闘った人々が、今ロシア兵と闘っているわけだ。
 本作で見たウクライナ国民の気概からすれば、ウクライナの勝利が見えてくる。
涼