VIII

シング・ストリート 未来へのうたのVIIIのレビュー・感想・評価

4.6
恋に身を任せ躍動する青春。

少年の行動原理は恋であり、ひとりの女の子の気をひくためにバンドを組んで他人の曲を歌わずに自分たちの下手な歌で愛と自由と友情を叫ぶ。
これほどまでに愛おしく、そして懐かしさに浸りたくなるものはあるだろうか。

さらにこの映画は主人公の兄の存在がかなり大きく、彼がいなければ主人公たちは現状に満足して、夢に一歩踏みだす勇気とやらも無かったことだろう。
それは失敗したことのある人間の力強いアドバイスであり、そういう人間からこそ聞くべき話というのは多くあるものだ。

ラストシーン、Adam Levineの「Go Now」とともに2人だけで海の向こうへと船をすすめる光景はまさに人生の船出であり彼らの物語はまだ始まったばかりなのだ。
主人公とヒロインは日常から離れ挑戦することでこれからたくさんの失敗をして絶望することもあるだろう、別れもあるかもしれない、でもやりたいと思ったからやるんだ。どんな荒波でも二人なら乗り越えられる。
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