NonCorleone

スイス・アーミー・マンのNonCorleoneのレビュー・感想・評価

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
4.4
生きているって素晴らしいのか。どうか。

物語は最初すごく淡々と進んでいくけど、淡々と進めちゃいけないような展開も淡々と進んでいくところが笑える。そして淡々としてるから面白いセリフもなんか笑えないのが逆に面白い。明るいのか暗いのかわからないアカペラの歌と歌詞も非常に合ってる。

彼が話すようになってからは大きく話が動いて気付いたら2人の友情が育まれている。道具でしかなかった彼が、主人公の親友になる。敵との友情とか、人種を超えた友情とか、動物との友情っていうのは割と目にするけど、道具(死体)との友情なんて見たことも無いし想像もつかなかったから面白い。

でも、結局最後まで主人公は彼を自分を映す鏡のように扱ってしまっていた。彼が本当に生き返っていたのか、主人公の妄想だったのかの解釈は人それぞれだけど、彼は最後、ひとつの死体として大きな行動をしたと思う。そして主人公も最後は彼を1人の友人として扱った。海へ流れていった彼は人を助ける道具としてまた使われるのだろうか。でもそれが死体の、彼の、アイデンティティなのかもしれない。
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