うめまつ

パターソンのうめまつのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.8
音楽が不穏すぎて、パターソンが家から出てきた時人でも殺しに行くのかと思ったよ。細かいことだけど、モノローグで詠んでる詩をテキストでも画面に出すなら、手書き風フォントじゃなくてノートの文字をそのままレイアウトすべきだと思う。綺麗な字じゃなくていいし、書き損じたところもそのままの方が良い。《詩のノート》が本作の裏主役みたいなものなのに、それを適当に代替表現されると、ノートが映画の小道具でしかない現実が見えてきて、そういう小さなところから物語を綴じる紐は解けてくると思う。

ちょっと期待値が高すぎたのか、好きになれそうな雰囲気のまま大きな気持ちの盛り上がりはなく終わった。パターソンがいい奴であることと妻が最高にキュートであることと、何気ない日常こそが至福であることは十分に伝わったけど、永瀬さんの登場がちょっとわざとらし過ぎるかな。あれが同じアジア人でも全く知らない役者さんだったらそこまで気にならないのかも知れないけど。。「昔ミステリートレイン出てた縁でオファー来たのかな。永瀬さん嬉しかっただろうな」とか考えちゃって、やはり最後まで物語の紐は解けたままだった。

以下モヤモヤしたネタバレ。








マーヴィン(ブルドッグ)は何故あそこまで周到にノートのみを破壊したのかな?遊んで破いちゃったというより、機密情報を隠蔽するレベルでシュレッダーしてたのが不自然に感じた。特別に紙が好きで食む癖がある子だったのなら、そのことをもっとしっかり示唆して欲しい。そうじゃないと「犬は理由もなく物を破壊する」という間違った印象がつくじゃないか。そもそもノートがズタズタにされたことよりワンコが紙を食べてしまっている可能性を心配すべきなのでは?と私は言いたい。
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