うめまつ

マッドマックス:フュリオサのうめまつのレビュー・感想・評価

4.0
ディメンタスがイモータンジョーに「チャーミングだな」って言った時の共感度MAX。「ディメンタスお前もな」ってなったし、マッドマックスの悪役はみんな空虚で孤独だから暴君でも憎みきれないし、非道であればあるほどその虚しさが深まって行くように見える。とはいえ数々の残虐シーンには目を覆いたくなったけど、中でも一番不快な描写は幼女性加害未遂だった。一瞬で地獄に堕ちろ、と思ったけど既に此処はMADな地獄であるな、と我に返った。(もちろん地獄だろうと許しませんが。) 前作が偉大過ぎて逆に期待値は上がらず、ファン向けのスピンオフくらいの感覚で挑めたので概ね満足。アニャの大健闘は讃えたいが、やっぱり私の中のフュリオサはセロン姐さんただ一人です。一生貴方の勇姿を胸に宿して生きて行きます。以下、ネタバレを含む雑感。






・全編に渡って《はたらくくるま大図鑑〜武闘編〜》みたいになってて、敵の車でも崖を登るとことか「がんばれー!」ってキッズの気持ちになれて楽しかった。

・アニャの顔面における眼の比率が猫のそれ。瞳の訴求力がIMAX。鑑賞後最大の残像は、砂と油に塗れた世界で怒りと悲しみを湛えてギラギラと反射する、泉のようなあの眼だった。

・子役をシームレスにアニャに繋げたいのはわかるけど、ただでさえ架空設定のフィクションなのに、それを演じている役者の顔まで合成しちゃうと「今映っている中で何が本物なの?」みたいな気持ちになって没頭できなかった。実写の良さって生身の人間を通して嘘を「本物」にする事なのでは。。という考えはもう古いのでしょうか。この手法がこれから当たり前になっちゃうのかな〜と思うとちょっと寂しい。

・ジャックは最初から物分かりが良過ぎて、都合良く現れた王子様みたいに見えて、やっぱりマックスみたいに最初は敵対してたけど一緒に戦ううちに「お前やるやん」的信頼が生まれちゃうパターンのが好きだな〜と思ったし、そもそも恋愛パートは不要。ただ闇堕ちディメンタスが激おこの時、それを無視してフィリオサとジャックがイチャイチャし出すとこは面白かった。

・40日戦争がダイジェスト過ぎて体感半日だった。そのせいでフュリオサが腕ちぎり捨てて帰還〜義手作る〜再び坊主〜再出動までも同じく体感半日だったので、ただでさえ脅威の回復力なのに完全に鉄人だった。

・これから桃を食べる度にディメンタスのこと思い出しそうだから、一日も早くラストシーンを忘れたい。
うめまつ

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