17.9.29 シネリーブル#2
彼にだけ見える「双子」
バスドライバーのパターソンは、趣味の詩作というフィルターを通すことで、いつも人や街の良い面に目を向けている。そんな彼の目に映る情景を、そのまま作品に仕立てているので、いつまでもこの世界に身をゆだねていたいなと思える心地よさがあった。悪い面しか見ることができなくなった「タクシードライバー」のトラヴィスと真逆の世界観。
何度か登場する数組の双子。
これは幸福のメタファーだと感じたが「彼(パターソン)にだけそれが見えている」風の演出が楽しい。前述の生き方を淡々と続ける彼ゆえに、何気ない日常の中で幸福を見つけている。という粋な映画的表現だ。
静かで美しく、大切にしたい作品。
公開前に亡くなった愛すべきマーヴィン君の冥福を祈る。