ゆき

パターソンのゆきのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.8
何があっても日は上り、日は沈む。

パターソン市で暮らすバス運転手のパターソン。朝目覚めると愛する妻が横にいて、キスをする。シリアルを食べて仕事へ行く。仕事終わりには愛犬と散歩をしていつものバーでビールを飲む。彼の毎日には人がいて感情がある。かけがえのない7日間を描く。

パターソン市。見たことのない街の景色に思いを馳せる有意義な時間。
毎日は必ず新しい日で、同じルーティンの中にも輝くときと暗雲がかかるときがある。その要素を作り上げるのは「人」であって「犬」でもある。パターソンの他人に対する壁の無さが生むことのできる発見が溢れていました。

奥さんの慣性の豊かさは、彼の平坦な表情とは反対の位置にいるように見えるけれど、良いスパイスなんだろう。そんなことも考えながら過ごした満席スクリーン。客席からは思い思いのシーンで心地の良い笑いが起きていて作品の穏やかさをより体感することができました。
久々の目黒シネマにぴったりの作品だった。
毎日目に留まるものが、毎日同じずれ方をしていたら愛犬を疑おう。愛情を持って。
ゆき

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