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ジェイソン・ボーンのmのレビュー・感想・評価

ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)
4.2
前作からもう9年(レガシーはノーカン)、作り手が自分達の老い(言い方は悪いが自分達が時代遅れになっているという事)に自覚的なのが良いと思った。
昔から続く定番の陰謀を張り巡らすトミー・リー・ジョーンズの老人世代に対して、はっきりと能動的にボーンを利用して己の理想を成そうとする要領の良いアリシア・ヴィキャンデルや、ジョブズ的な感じのリズ・アーメッドら若い世代。その2つの世代に挟まれた、ある種ゼロ年代の亡霊のようなボーンはどう動くのか?という部分に映画のフォーカスが絞られている所に好感を抱く。老人にも若者にも使われずにサバイブしていこうとする中年世代の苦労と悲哀、というか。
そういう意味で、既視感はあるが印象が少し違う作品になっている。

アクションシーンが前作・前々作に比べて規模は大きくなったのに印象に残らないのは、編集というより撮影段階でアクセントになる印象的な(動きや状況が分かりやすい)ショットが撮れていないからなのでは。そこは残念だった。

アリシアさんが流石の良い仕事。彼女の役の人物造形は興味深い。短い出番ながらニッキー役のジュリア・スタイルズも素晴らしい。
映画作りの流れを変えたアクション映画の続編としては少し寂しい感じもするが、彼女らの印象的な場面の作り方は流石ポール・グリーングラス監督。
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