ツクヨミ

街をぶっ飛ばせのツクヨミのレビュー・感想・評価

街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)
4.0
これがアケルマン本当の処女作だ!と言いたげなフレッシュ快活狂行室内劇。
シャンタル・アケルマン監督作品。特集"シャンタルアケルマン映画祭2023"にて鑑賞、"家からの手紙"と併映でアケルマンの処女短編を鑑賞してみた。
まずオープニング、とてつもない勢いでアパートの廊下からエレベーター.室内へと駆け回るアケルマン本人のパワーがすご過ぎて笑ってしまう。そこにアケルマン本人によるアフレコバリバリの鼻歌がめちゃくちゃキュートに流まくる仕様にもニコニコになった。本当に巨匠の初期作ってトリュフォーの"あこがれ"やスコセッシの"ドアをノックするのは誰?"しかりとてつもないフレッシュなパワーに溢れているなと感じる。
そして本編はまさに長編処女作"私、あなた、彼、彼女"に続くアケルマン本人による室内での謎行動を眺めるのみのストーリーの無さが最高で、固定カメラ演出はないんだがけっこう動きまくったり同じショットを繰り返す編集だったりとまだまだスタイルが確立していない感がまた良い。本当に全編何やってんの⁈と言いたくなる謎行動なんだが微笑ましく、やはりアケルマン的な女性の日常が垣間見える堕情感もあってしっかり処女作としてこれからの作家性が見える。あとやっぱりゴダール"気狂いピエロ"に魅了されて監督を志したアケルマンだからというべきか、唐突にやばい終わりを迎え最後は自分でクレジットを読み上げるまで最高のアケルマン短編処女作体験だった。
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