ガンビー教授

バッド・バディ! 私とカレの暗殺デートのガンビー教授のレビュー・感想・評価

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僕としては、変な訛りを頑張るティムロスと、もちろん何よりアナケンドリックをいっぱい見ることができたので、満足はしている。

アナケンドリックに関しては、いかにもおどけたテンションのオーバーアクティングより、ギャグシーンでの真顔とか引きつり笑いのような顔芸のほうがうまい。そちらを立てるべきだと思った。

しかしアナケンが人をバンバン殺してくれる映画だと思ったけど、そんなこともなかった。十数人くらい殺して欲しかったなーと思う。そもそもこの映画を見ようと思ったのは脚本家が「クロニクル」「エージェントウルトラ」の人だったからだし、覚醒の描写に期待をしてしまうのが人情ではある。
たぶん、理性がブレーキをかけてしまったのだろうなー、と。さすがにこのキャラがバンバン人殺しまくるのは……と。あるいは企画の狙うターゲット層がどうのこうのだから、主演の彼女が沢山殺すのはちょっと、みたいなしがらみに影響されて仕方なくこういう展開になってしまったのかもしれない。そこは分からないが、いずれにせよ映画の中で人を殺すのをあまり躊躇わないでいただきたい。

人を殺すことでもろもろから解放されて自由になるという非日常でアンモラルな設定はたいへん好みだけど、そもそも、男と出会ってその男に多大な影響を受け、言わば「染められ」、幸せを手に入れるというシンデレラストーリー自体が私の好みではなかったのかもしれない。あるべき結末としては、アナケンが最後にスーパーヤベぇサイコシリアルキラーであるこの男をぶっ殺して本当に解放され自由になる、ぐらいまで行けば自分としてはかなり突き抜けた作品という印象を持てた気がしないでもない。

というかまあ、それ以前に「乗れなかった」箇所としてアクションの撮り方があんまうまくなかったという大前提があるかもしれない。カット割りがなんかモサッとしている。踊るように優雅に人を殺すというならワンカットに挑戦するところがどこかしらあっても良かったのでは、とか思う。

まあ、この手の「大傑作ということを期待して見に行くわけでもない軽めのジャンル映画」というくくりでは、ほぼ上限レベルの傑作であるナイスガイズを見てしまったので、それ以降同じタイプの作品に対するハードルが跳ね上がってちゃんと見られない身体になってしまっているのかもしれない、ということは、ちょっとだけ感じている。
ガンビー教授

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