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レゴバットマン ザ・ムービーのkouのレビュー・感想・評価

3.5
《元作品の批評的アニメーション》
監督クリス・マッケイ。「レゴ・ムービー」からのレゴブロックを使ったアニメーションで、DCコミックのバットマンを描いた作品。レゴ・ムービーが面白かったこともあり、今作もとても期待して見に行った。全てをレゴで表現する凄さは健在。また、前作同様にヒーロー達をある意味笑いながら、それでも愛を持って、しかも「バットマン」とは何なのかという所まで踏み込んでいる作品だったと思う。

特筆すべきなのは「バットマン」をレゴでやることで「バットマン」という作品を批評しているところだろう。バットマンとはどんな人物で、どうして戦っているのか、「レゴでバットマンを表現する」というアプローチだからこそ際だたせることができるのだ。これは新しい発見でもあると思う。

例えばバットマンとジョーカーの関係。ジョーカーという悪役がバットマンがいなくては存在できないように、バットマンもジョーカーがいなければ彼の役目はないのだ。そこにジョーカーの一方的な恋心(?)のようなものを描くことでユーモラスに批評している。とても高次元だと思う。

また、彼の孤独を望みながらも、本当は家族や仲間がいてほしいという視点は、アルフレッドやロビンというキャラクターに込められた役割と言ってもいい。これらのバットマンへの批評撃な視点はラストシーンでとても大きな感動へつながる。しかもそれは、子供達へ向けた、とてもまっとうなメッセージになっていることに感心してしまう。

登場人物も豊かだ。敵役には指輪物語のサウロン、キングコング、ヴォルデモート、グレムリンまで出てくる。バットマンの宿敵達は過去のバットマンシリーズを思い出させてくれる。数々のパロディは原型のわからないものも沢山有るほど相当盛り込まれている。とにかく面白く、画面上のレゴの動きだけでも満足できる。とてもおもしろかった。
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