あるぱか2世

グエムル -漢江の怪物-のあるぱか2世のレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
3.6
【漢江のゴジラ】

韓国の飛躍的な経済成長は「漢江の奇跡」とも呼ばれるなど、漢江はいわば韓国という国家の目撃者といえるかもしれない。

そんな漢江が生み出したモンスターを描いた本作は、一筋縄ではいかないパニック映画だ。というより、これはもはやパニック映画ではないような気もする。

モンスターと戦う政府の人間でも学者でもなく、「社会の負け組」のような家族を主人公にしたことで、普通の怪物映画にはない、日常と隣接した生臭さのようなものを感じられた。

そして、時折繰り出されるシュールなギャグたちも巧妙で、クライマックスにいたデモ隊の若者が着ていた主人公カンドゥのTシャツなんてもう、確実に笑わせに来ている。

しかし、家族という視点に気合が入りすぎていたような気もする。
怪物の造形や行動原理に対する描写を掘り下げるなど、キャラクターとしての怪物にもう少し魅力を持たして欲しかった。

導入部の展開はもはや美しさを感じるほどに完璧で、さすがポンジュノといったところ。
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