おがさ

オール・アイズ・オン・ミーのおがさのレビュー・感想・評価

3.9
90年代初頭のアメリカンミュージックシーンに登場しては、リスナー、ギャング、警察、政府の注目の的となった伝説的ラッパー トゥパック・アマル・シャクールにまつわる伝記映画。
金、ドラッグ、ファックビッチ、ファックポリスのような俺俺したギャングスタラップが主流な中で、黒人の地位向上を目指して歌い続けた人物。
彼自身ををキング牧師やマルコムXと並べ、黒人の指導者とする人もいれば、その暴力的な発言故に危険人物として扱う人もいる。
裁判や投獄、銃撃仕事とスキャンダラスな人生だったが、常にペンとマイクを握り続けるストイックな人物だった。
最期はギャングの抗争により凶弾に倒れた。

というのが私が厨二病を患って彼のアルバムを聴き漁っていた頃に得た知識であり、本作の内容もほぼそれに一致していた。
この映画を見る人なら大抵知っている話だと思われるので、サプライズがある内容ではなかった。
強いて言うなら、仕事に対するストイックさ、黒人指導者的な働き、ビギーとの確執と言った要素が薄く、トゥパック本人の人間性を深堀するような内容だったように感じる。
(ビギーに関してはあちらも被害者だし、加害者と決まったわけではないのでマイルドに描くのが正解だと思う)

驚いたのはトゥパック役の俳優が本人そっくりで、本当に本人の映像を使ってるんじゃないかと思うシーンが多々あった。
なのでレコーディングやライブのシーンでは、まるでトゥパックが生き返ったかのようでとても高揚した。
ついでに言うとスヌープ役の喋りは本人としか思えなかった。

ギャングスタだらけのオラオラした作風なので受け付けない人もいるとは思うが、トゥパック好きな人にはおすすめの作品。
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