Inagaquilala

オール・アイズ・オン・ミーのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.4
25歳でこの世を去ったヒップホップ界のスーパースター、2PACの反骨の人生を描いた伝記的作品。あくまでもドラマ仕立てではあるが、ほとんど事実に基づいてつくれられているとは思われる。気になったのは、中盤まで物語の案内役として登場していた獄中の2PACにインタビューしていた記者が、途中で姿を消してしまうところだ。わかりやすくつくるのならば、彼を語り部にすればいいものの、そのようなつくりにもなっておらず、そのあたりどうも中途半端なストーリーテリングとなっている。たぶん脚本の組み立てに問題があるのかもしれない。

音楽ももう少し全面的にフューチャーされているのかとも思っていたのだが、案に相違して、どちらかというと 2PAC の社会的な行動にも引っ張られていて、どっちつかずの印象だ。やはり音楽は重要な要素にもなると思うので、もう少し見せ場、聴かせ場は欲しかった。ただ、時折、実際の本人映像も引用したつくりは悪くはない。惜しむらくは引用場面が短いため、あまり印象に残らないのが残念だ。

2PACがラスベガスで射殺される事件の背景描写も中途半端で、劇映画としてつくられたのであれば、もう少し大胆なストーリーづくりも可能だったのではないだろうか。まだ関係者も多いため、そのあたりに留意しなければならないとしたら、まだ伝記作品は時期尚早だったのかもしれない。なにしろ、全般として、中途半場な感じが残った作品であることは確かだ。
Inagaquilala

Inagaquilala