くりふ

アメリカン・レポーターのくりふのレビュー・感想・評価

アメリカン・レポーター(2016年製作の映画)
3.5
【おしっこで米軍を止める女】

製作も兼ねる才女ティナ・フェイが実在の戦場レポーターをモデルに主演し、2002年に紛争が始まるアフガンへと向かうお話。マーゴット・ロビーも出てるよ、との概要に興味湧きレンタル。劇場未公開。

TV局でデスクワーク担当のヒロインが、ある事情から突如、アフガン紛争の取材に赴くことに。出だしはそのギャップを面白おかしく描いている。映画の仕立てはしっかりしていますね。ロケがアフガン現地かは知りませんが、撮影大変だったろうと思います。

出演は他にマーティン・フリーマン、アルフレッド・モリナ、ビリー・ボブ・ソーントンという面々が脇を固め、手堅い。

タッチはコメディですが、題材が戦場レポでリアルな戦闘や死体も頻出…この共存が特徴。あくまでサラリーマン感覚を基としているからこうなるのか、とも思う。面白いけどなぁんか、納得できないところでもある(笑)。

ヒロインは社員レポーターで、戦場はひとつの勤務地に過ぎない。成果を上げれば帰国でき、この地獄から逃れられる…となれば特ダネも必死で追う。TV局は数字が取れればよい。ヒロインの目的は戦争を止めることじゃない。…自分だったらどうするだろうか?

物語表面からは知らん振りするように、そんな他人事感…米側視線ばかりで彩られる違和感を、ブラックコメディとして纏めている。そう捉えた方が価値的で、ティナ・フェイならそう狙うとは思った。

実話を元にしているので、リアルだーと感じるところが端々にあり勉強になります。イラク戦争が始まり皆の興味がそちらに行くと、TV局も従うからアフガンへのケアが手薄になる…辺りなどイヤな感じに納得。各種、現地あるある話にもなるほどなーと感心。

しかし、ティナ・フェイは映画の主演女優を張るタイプではないと思った。劇場の大スクリーンで見たら正直、しんどかったかもしれない。逆に、そちらなら任せてのマーゴット・ロビーは、あまり見せ場がなくて残念。

原題『Whisky tango foxtrot』は軍の隠語W.T.Fのことで、その本来の読み方はWhat the fuck!…何じゃこりゃ!の意味らしいです。

<2017.7.4記>
くりふ

くりふ