なお

インディ・ジョーンズと運命のダイヤルのなおのレビュー・感想・評価

3.8
「インディ・ジョーンズ」シリーズ第5作。
そしてハリソン・フォードが公言している通り、本作にて40年あまり続いたインディ・ジョーンズの冒険譚は最後となる。

前作『クリスタル・スカルの王国』を見に行ったのが中学3年生のとき。
弟を連れ立って今は潰れてしまった地元の映画館に見に行ったっけ…

あれからちょうど15年。
またこうしてインディ・ジョーンズ最後の活躍を大スクリーンで拝むことができるとは。
正に感無量。

✏️ぶちかませ、インディ・ジョーンズ!
インディが生涯をかけて追い求め続けてきた「歴史」そして「時間」を巡る壮大なスペクタクルムービー。

時は1969年。
アポロ11号が月面着陸を果たし、大衆は「過去」から現在に繋がる知見を得るための考古学ではなく、はるか彼方の宇宙ひいては「未来」を夢見ていた時代。

それが色濃く出ているのがインディが大学にて教鞭をとるシーン。
過去作では生徒たちがインディの授業を興味津々といった様相で受けていたが(インディの甘いマスク目当てに来ていた女子生徒が大半だったかもしれないが)、本作ではどの生徒もまともに授業を聞いていない。

誰からも見向きもされなくなってしまった考古学、それに追い打ちをかけるように迎えた自らの引退。

ハリソン自身も御年80歳を迎えており、この「よぼよぼインディ」の悲哀を見ているだけで白飯3杯はイケてしまう。

✏️シリーズ史上最高のアクションシーン
本作のプロローグとして描かれる、1944年に起きたインディとナチスとの因縁。
この時代の「若インディ」の再現シーンが実に見事。
いったいどういう技術で若かりし頃のインディを再現しているんだろう…?
ディープフェイク?の応用とかなのだろうか…

劇中のアクションは別な俳優が担当していたようだけれど、顔の表情自体は『最後の聖戦』に出演していた頃のハリソンそのもので違和感が全くない。
たぶんこの技術はご長寿のシリーズ映画とかでも駆使されていくんだろうな~。

そんな「最初からクライマックス」な冒頭のシーン始め、時を1969年に戻してからもシリーズ史上最高傑作と言っていいアクション、そしてカーチェイスシーンを堪能できる。

80歳と高齢のハリソンなのでそこまで激しいアクションシーンは無理なのでは…?と勘ぐっていたが、見事なCG技術と演出でその難点をカバー。

そしてネタバレに繋がるため詳細は伏せるが、クライマックスの壮大な戦闘シーンはぜひスクリーンで体験してほしいと言わしめるクオリティ。
インディと同じく、開いた口が塞がらなくなるほど心奪われてしまうシーンだった。

ハリウッド映画制作チームの映像表現力と技術力の高さを垣間見ることもできるのが本作の魅力。

✏️シリーズ集大成としては…?
では40年あまり続いたシリーズのクライマックスとして見事な大団円を迎えているか…?と問われると、簡単には首肯しづらい。

むしろ予告映像見て公開日を待ち侘びてる時間が一番楽しかったまである。

「インディが人生をかけて---」とか、タイトルにもなっている「運命の---」とか、何やらこれだけ見ると過去作に登場してきた数多の要素を絡めての大スペクタクルが待ち受けているのでは…?と否が応でも期待してしまうのが人間の性だと思うが、この点についてはちょっと肩透かし。

シリーズ作を全部見ていなくても普通に楽しめる。
裏を返せばシリーズファンへのファンサービスがちょっと足りなかったかな…

過去作に絡めたセリフやオマージュはちょいちょい出てくるけど、そこが分からなくても物語の進行上は何の問題もない。
終盤に出てくる「あの人物」の登場も想定の範囲内ではあったし…

2年前に公開されたスパイダーマンやゴーストバスターズのように何でもかんでも「サプライズ登場」させればいいってモンじゃないことは理解しているけれど、それにしても寂しさが残る。

☑️まとめ
最後にケチをつけるような評価となってしまったが、敵だけでなく自らの老体にも鞭を打ち、歴史とその歴史に秘められた謎を追うヒーロー、インディ・ジョーンズを最後まで演じきったハリソンには万雷の拍手を送りたい。

ドラマ作品『フリーバッグ』でその名を知ったフィービー・ウォーラー=ブリッジの美貌も十分に楽しめた。

それにしても、本作で使われた「若インディ」再現の技術は今後もご長寿のシリーズ作品で駆使されていきそう。
年齢を重ねた俳優の若いころをいつでも見られる、というのは嬉しいけれど、あまり多用されすぎてもそれはそれでどうなんだろうな…
そんな作品内容には関係ない「映画業界のこれから」もちょっと考えてみたくなってしまう内容だった。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★★☆
😲驚 き:★★★★☆
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆

🎬2023年鑑賞数:71(34)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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