一粒万倍日

3月のライオン 前編の一粒万倍日のレビュー・感想・評価

3月のライオン 前編(2017年製作の映画)
3.9
「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督が映画制作秘話の中で、主演を神木君にした理由を「3月のライオン」の演技が良かったらからと話ていたのを聞き、観てみました!

神木くんの孤独な高校生プロ棋士の霧島零君の演技、良かったです。

つらく厳しい将棋の闘いの世界に身を置いていても、終われば優しく迎え入れてくれる人がいるとまた頑張れるという、居場所についてのストーリーが良いです。
しかもその居場所は偶然の出会いからなのだけれど、お互いのピースが合うという出会いもそれぞれの人間性が引き付け合っているのかもと思わせてくれる。
川本家の食卓が温かい。

一方、家族を失った9歳の零君を父の友人である棋士の幸田さんが家族として迎え入れてくれたのだけれど、幸田家では良い化学反応は起きず、加わったことで生まれていった不満が幸田家の二人の子供の人生を変えてしまう。
肩身の狭かった幸田家での生活と子供のとの関係から、零君が将棋の世界に居場所を作っていったのも必然だった。

棋士の世界では天才という立場を築きながらも、叱ってくれたり本当に困っているときに助けてくれる棋士仲間や、応援してくれる学校の先生との良い関係を持てている。孤独でも、孤立していない高校にちょっと憧れます。

一人暮らしの孤独な高校生の、ギラギラしていない勝負に負けない階段を上っていくストーリーが心地よかった。

豪華配役人も良く、特に染谷翔太くんにビックリ。