原作は食わず嫌い。アニメも食わず嫌いで映画で初めて見ました。というのも原作やアニメの流れだと初っ端に出て来る川本家の描写が漫画的すぎて、その流れで零君の孤独感とか描かれるリズムが苦手でした。
その意味では映画の改編で私としては「乗りやすい話」になったなと思います。といか、映画でこれだけ一人一人の人間が「生きて」みえるとなると原作は本当に重厚なマンガなんだろうなあと逆に驚いたくらい。
映画は前半と後半でざっくりと分かれていて「零vs香子」の場面と「棋士同士の魂の削りあい対局」の場面ですよね。
前半の零と香子の2人は「将棋しかない零」「将棋を失った香子」の反転が絶妙ですね。有村架純は原作のイメージとは違うとのことなんですが、ここにこのキャスティングは発明だと思います。
あとは対局のシークエンスの演出ですよね。将棋を映画にするって基本的に食い合わせ悪いわけで。盤面みても状況は分からないし、役者の演技力が試されるところですよね。顔芸ですよもはや。日本トップクラスの俳優たちの顔での演技を見る映画ですよこれは。しかも将棋の決着のつき方、「負けました」ですよ。本当にエグいですね。
この映画では部分的にモノローグによって対局描写に深みを出したり音楽のメリハリ(これは古典的すぎやしないかなあと正直ノイズでしたが)で対局を演出してましたね。
僕はこれはこれで最小限に抑えていたしモノローグの内容も基本的にそうとしか演出出来ないものだと思うので「ダサい」とか「演出が下手」とか断罪出来ないなあと感じました。僕は後編も楽しみですし、よく出来てるなあと思いました。
