ユースケ

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

放射性廃棄物を浴びてスーパー・パワー手に入れた小悪党の中年男エンツォ(クラウディオ・サンタマリア)が、【鋼鉄ジーグ】を愛する電波女アレッシア(アイルニア・パストーレリ)を救うために、ヒーローとして覚醒してゆく姿を描いた本作は、鋼鉄ジーグもハニワ幻人も登場しませんが、【鋼鉄ジーグ】の魂を継承した志の高い一本。4回泣けます。

みどころは、ヒーロー映画の御多分に洩れずヒーローの覚醒シーン。
スーパー・パワーを手に入れても、ATMや現金輸送車を襲撃して大好物のヨーグルトやエッチなDVDの大人買い(ローションもしっかり購入)していたエンツォが、愛を知る事によって真のヒーローに覚醒する展開は、まさに「心に愛がなければスーパー・ヒーローじゃないのさ」という【キン肉マンGo Fight!】の歌詞の通り。エンツォに愛を教え、片乳まで披露したアレッシアの「皆を救って、あんたならジーグになれる」という最後の言葉もたまりません。ヒーローの本質は心の在り方なんですね。
それにしても、爆発寸前の車から少女を助け出し、爆発を背にしてキメ顔をかまし、司馬宙(【鋼鉄ジーグ】の主人公)を名乗って去って行くシーンは激アツです。

更に、イケメンで、潔癖症で、自己顕示欲の塊。Anna Oxaの【Un'emozione da poco】を見事に歌い上げ、Nadaの【Ti Stringerò Nada】を聴きながら人を殺す(トドメのベア・ハッグはジーグブリーカーへのオマージュです)イタリアンポップスを愛するアイドル崩れのマフィアのジンガロ(ルカ・マリネリ)のキャラ立ちも要チェック。
仲間を携帯電話で殴り殺したり、犬に食い殺させたり、ぶち切れると何をするかわからないスーパー・パワーを手に入れる前のイカれっぷりも、【ダークナイト】でヒース・レジャーが演じたジョーカーを思わせるスーパー・パワーを手に入れた後のイカれっぷりも、素晴らしい。

今回、レビューを書くにあたって【鋼鉄ジーグ】第1話【世紀のマグネ・ロボット鋼鉄ジーグ】を鑑賞。アニソンの帝王こと水木一郎アニキが歌う【鋼鉄ジーグのうた】とぶっ飛んだ展開の連続にシビれました。こんなの食らったらイタリアのキッズの心は鷲掴みにされて当然ですね。

ちなみに、【鋼鉄ジーグのうた】を作曲した渡辺宙明さんはメタルヒーローシリーズ(【宇宙刑事ギャバン】【宇宙刑事シャリバン】【宇宙刑事シャイダー】【巨獣特捜ジャスピオン】【時空戦士スピルバン】)の主題歌を作曲した偉い人。もちろん全部歌えるぜ。

【鋼鉄ジーグのうた】
作詞:林春生 作曲:渡辺宙明 歌:水木一郎
(ダンダダダダン ダダンダダダン ダンダダダダン ダダンダン)
おれがやめたら(バンババン)
だれがやるのか(バンババン)
いまにみていろハニワ幻人 全滅だ
走れ(バンバンババン)
走れ(バンバンババン)
ビッグシューター 風よりはやい
ビルドアップ(バンバンバンバン)
ビルドアップ(バンバンバンバン)
(バラバラババンバン ババンババンバンバンバンババンバン)
腕がとびだす(ババンバン)
足がとびだす(ババンバン)
磁石のいりょくだ 鋼鉄ジーグ

…擬音最高。エンドクレジットで流れるエンツォを演じたクラウディオ・サンタマリアが歌う激シブなアコースティック・バージョンも必聴です。

スペインで【マジンガーZ】フランスで【UFOロボ グレンダイザー】が実写映画化される日もそう遠くないでしょう。