お豆さん

Viva!公務員/公務員はどこへ行く?/オレはどこへ行く?のお豆さんのレビュー・感想・評価

2.0
つい先日も、「働かなくてもいいなら、働かない方が良い」「日々の生活に困らないくらいの稼ぎがあれば良い」という南イタリア的価値観が中東的だという話をしたばかりなのだが、それはイタリア映画においても良く好まれた題材で、フェデリコ・フェリーニの『青春群像』のような名作も生まれたほどだ。この『オレはどこへ行く?』は、まさかそんな名作の系譜に名を連ねることは決してないだろうけれど、現在のイタリアを支配する病巣を笑いに変え大ヒットを記録した。ただ、この映画を見てヘラヘラ笑ってるようなイタリア人て、まさにそういう働かないイタリア人像に当てはまりそうなタイプだったりするから、笑えないよね。

南イタリア・プーリア出身のケッコ・ザローネというコメディアンは、いわゆる「南北問題」を取り上げ、無知な田舎者という人格を演じて人気だ。今回は、そんな無知な田舎者は「終身雇用」にこだわるあまり、イタリア国内の僻地のみならず北極圏にまで飛ばされ、ノルウェーで真の「文化的社会」を知ることになる。ここで「終身雇用」の地位に安住しているイタリア人の姿を散々笑いものにしているのだが、それがちっとも誇張とかではなく現実だったりしちゃうから恐ろしい。それ、笑って済ませられる問題じゃないっすよ!とかマジの突っ込みをしたくなるけど、きっと「イタリア人だもの」と交わされてしまうんだろうな…。フェリーニやパゾリーニのような天才だったら、笑って済ませるだけの映画にならないだろうに、そこがケッコの残念なところである。

2016. 74
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