Kei

オールド・ジョイのKeiのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
3.8
ケリー・ライカート監督の作品を初鑑賞。
家庭を持ち父親になる直前のマークとアメリカを旅しながら悠々自適に暮らしているカートが山中にある温泉を目指して小旅行に出るロードムービー。
マークとは対照的にカートは家庭を持たず様々な場所を転々としながら暮らしているためお互いの生活スタイルは全く異なる。
そうした生活スタイルの違いに加え2人はしばらく会っていなかったため、2人の共通の話題は共通の知人の噂話くらいしかない。
また、カートは自由な生活に満足しているように見えるが、旅の途中でマークが奥さんから連絡を受けると少し羨ましそうな顔を見せる。
カートは自由奔放な生活を満喫しながらも孤独を抱え、それ故に愛されることを欲しているのだ。
そうしたカートの孤独は、常にカートから話をしているということや、マークと心を通わせることが出来る友達でいたいと切に願う場面、また、町に赴き見ず知らずのホームレスとコミュニケーションを取っていた場面からも確認することが出来る。
本作では、違う人生を歩むと話が合わなくなってしまう悲しさとそれにより友人同士の間に生まれる微妙な気まずさ、友人の人生に対して抱く羨望、また、家庭を持たないことを選んだ人の孤独が見事に描かれていた。
映像に関しては、木の緑が映えるような映像でとても良かったと思う。
また、Yo La Tengoのリラクシングな音楽はゆったりと時間が流れる本作に非常にマッチしていた。
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