このレビューはネタバレを含みます
感想を考えるのがすごく難しい。
山奥で少女ミジャとともにのびのびと生きるオクジャ。食肉として加工されるため企業に引き取られていく姿を見ると「なんて酷いことを!」って思うけど、私たちが普段食べている豚も牛もやっていることは変わらなくて、ミランド社の人間を憎んだ次の瞬間にその欺瞞がブーメランになって自分に返ってくる。
ミジャに感情移入したいけど肉を食うことを悪にするのも違うと思うし…どうしたらいいんだこの気持ちは…
素直に面白かった!とはなれない。
ミジャに加勢する動物愛護団体も、なんだか手放しでは応援できない。自分たちのPRツールとしてオクジャを利用しようとしているようにしか思えなかった。
施設からオクジャを連れ出す帰路でまだ閉じ込められている他のスーパーピッグたちを見つめるミジャの視線がなんとも言えない。
鬱蒼とした山の描写も美しくて、森の中でミジャがオクジャの上に乗って昼寝する風景はまるでトトロとメイちゃんのようだ。
場違いなくらいポップな音楽も印象的。
配役もすごくいい。ティルダもジェイクも吹っ飛んだ演技がハマっててよかったし、ポール・ダノの端正な佇まいもいい感じに胡散臭い。韓国語を話すスティーブン・ユアンも新鮮だった。